防災・停電・孤立対策

南海トラフ地震に備える通信手段|国の被害想定で見る停電・携帯の不通と、沿岸・半島の家の備え

国が 2025 年 3 月に公表した南海トラフ地震の被害想定から、停電・固定電話・携帯電話の不通と復旧の見通しを抜き出しました。携帯電話が地震の翌日に最もつながりにくくなる理由と、沿岸・半島の家で今からできる 4 つの備えをまとめます。

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30秒でわかる結論

Q. 南海トラフ地震で、携帯電話や電気はどれくらい止まる想定ですか?

A. 国の 2025 年の想定では、携帯電話の基地局は地震の 1 日後に止まる割合が最も高くなり、四国 4 県では最大 85% です。固定電話は最大約 1,310 万回線が不通になり、電柱の被害による停電の解消には約 1〜2 週間かかるとされています。

南海トラフ地震が起きたら、電気や電話、携帯電話はどれくらい止まるのか。沿岸や半島に住んでいる人ほど、気になるところです。

この記事では、国が 2025 年 3 月に公表した最新の被害想定から通信と電気にかかわる数字を抜き出し、沿岸・半島の家で今からできる備えを整理しました。

結論

結論:国の想定では、携帯電話の基地局は地震の 1 日後に止まる割合が最も高くなり、四国 4 県では最大 85% に達します。固定電話は最大約 1,310 万回線が不通になり、大部分が戻るまで最大約 4 週間です。沿岸の家では「まず津波から逃げる」が最優先で、そのうえで、携帯電話に頼らない連絡手段と電源を 1 つずつ用意しておくと安心です。

国の被害想定で、通信と電気はどうなるか

内閣府の中央防災会議のワーキンググループが、2025 年 3 月 31 日に「最大クラスの地震」の被害想定を公表しました。最大クラスは、起こりうる中で最も大きい地震を想定したもので、必ずこうなるという予測ではありません。それでも、備えの目安としては大切な数字です。

項目想定(2025 年 3 月公表)元に戻るまでの見通し
停電被災直後に最大約 2,950 万軒電柱の被害による停電は、解消まで約 1〜2 週間
固定電話最大約 1,310 万回線が通話できなくなる最大約 4 週間で大部分が解消
携帯電話地震の 1 日後に止まる基地局の割合が最大。被災直後は混み合って、ほとんどの通話が難しい基地局の停電による広い範囲の不通は数日で解消。固定回線の不通による影響は最大約 4 週間
孤立する集落最大で農業集落約 2,200、漁業集落約 500道路の復旧しだい

携帯電話が「1 日後」に最も止まる理由

想定では、携帯電話の基地局は地震の直後よりも、1 日後に止まる割合が最も高くなります。基地局には停電に備えた非常用の電源がありますが、それが切れるのが 1 日後ごろだからです。

1 日後に止まる基地局の割合(最大)は、被害が大きい地方で次のように想定されています。

  • 四国 4 県:最大 85%
  • 九州(大分・宮崎):最大 81%
  • 主な 5 つの地方の合計:最大 66%
  • 40 都府県の合計:最大 22%

想定では、4 日後にはこの割合が 1 けたまで下がります。つまり、地震の当日は携帯電話がつながっても、翌日にかけてつながりにくくなり、数日で少しずつ戻るという流れです。「地震の直後につながったから大丈夫」とは限らない点に注意が必要です。

津波は早いところで 2 分

説明資料によると、静岡県の静岡市・焼津市、和歌山県の太地町・串本町では、1m 以上の津波が最短 2 分で届くと想定されています。高知県の黒潮町と土佐清水市では、最大約 34m の津波が想定されています。

注意

津波の危険がある地域では、通信の準備よりも避難が先です。揺れたら機器のことは考えず、すぐに高い場所へ逃げてください。この記事で紹介する備えは、命を守ったあとの連絡と情報のためのものです。

沿岸・半島の家で困りやすいこと

2024 年の能登半島地震では、道路の通行止めで最大 33 地区・3,345 人(1 月 5 日現在)が孤立状態になり、1 月 3 日には携帯電話 4 社の合計で 839 の基地局が止まりました(令和 6 年版 防災白書)。半島の先や沿岸の集落では、次のことが重なりやすくなります。

  • 道路が 1 本しかなく、崖崩れや津波で途切れると孤立する
  • 停電が長引き、基地局の非常用電源が切れて携帯電話が使えなくなる
  • 固定電話や光回線は、電柱やケーブルの被害で長く止まる

一方で、能登半島地震では、通信会社 3 社から避難所などへ Starlink が 660 台提供されました(令和 6 年版 情報通信白書)。地域の基地局や電柱に頼らずに使える衛星の回線が、孤立した地域の連絡手段として役立ったことが分かります。

今からできる、通信の備え 4 つ

1. 携帯電話の会社を分ける

家族で同じ会社の携帯電話を使っていると、その会社の基地局が止まったときに全員が連絡できなくなります。家族の誰か 1 人だけでも別の会社にする、スマートフォンに別の会社の eSIM を入れておくなど、回線を分けておくと、どちらかが生きている可能性が高まります。手軽で費用も小さい備えです。

2. 衛星の回線を 1 つ持つ

基地局や電柱が止まっても使える回線として、Starlink があります。アンテナを空の見える場所に置けば、地域の設備に頼らずにインターネットにつながります。インターネットが使えれば、メッセージアプリ・メール・インターネット電話で家族と連絡をとれ、自治体や気象庁の情報も見られます。

ただし、津波で家が浸水するおそれがある場所では、自宅に置いた Starlink は使えなくなる可能性があります。自宅が浸水想定区域の外にあるか、高台にあるかで、備え方が変わります。

  • 自宅が浸水しにくい家:自宅に Starlink を置いておけば、停電と同時に電源を用意することで、周りの携帯電話が止まっても自宅から連絡できます。
  • 津波の浸水が想定される家:持ち出せる小型の Starlink Mini を、避難先で使うという考え方もあります。ただし、避難のときは持ち出しにこだわらず、命を優先してください。

Standard と Mini の違いは「Starlink Mini と Standard、防災用ならどっち?」で比べています。

3. 電源を用意する

Starlink は電気がないと動きません。国の想定では電柱の被害による停電の解消に約 1〜2 週間かかるので、ポータブル電源や、ソーラーパネルでの充電を組み合わせて考えます。必要な容量は電源シミュレーターで確かめられます。電源の組み方は「停電時に Starlink は何時間動く?」もご覧ください。

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容量
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AC 出力
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重量
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4. 連絡の決まりを家族で決めておく

携帯電話が混み合ってつながらないときに備えて、災害用伝言ダイヤル(171)や、各社の災害用伝言板の使い方を家族で確かめておきます。「どの手段で、誰に、何時ごろ連絡するか」まで決めておくと、つながったときに迷いません。通信手段ごとの使い分けは「災害時の通信手段を比較」で解説しています。

備えのチェックリスト

  • 未完了: 自宅が津波の浸水想定区域に入っているかを、ハザードマップで確かめた
  • 未完了: 揺れたらどこへ逃げるか、避難場所と道を家族で決めた
  • 未完了: 家族の携帯電話の会社を分けた、または別の会社の eSIM を入れた
  • 未完了: 携帯電話が止まったときの連絡手段(衛星の回線など)を決めた
  • 未完了: 停電に備えた電源(ポータブル電源・ソーラーなど)を用意した
  • 未完了: 171 や災害用伝言板の使い方を確かめた

自分の家が孤立しやすいかどうかは、孤立リスク診断で確かめられます。過去の地震や台風で、いつごろ何が起きたかは災害カレンダーにまとめています。

Starlink は工事がいらず、最低利用期間もありません(一部の地域の特定のオファーを除く)。ふだんは自宅の回線として使い、いざというときの連絡手段にもする、という持ち方ができます。

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まとめ

国の想定では、南海トラフ地震が起きると、携帯電話は地震の翌日にかけて最もつながりにくくなり、固定電話や電気の復旧には週単位の時間がかかります。沿岸や半島の家では、まず津波から逃げることを最優先にしたうえで、「携帯電話の会社を分ける」「衛星の回線を持つ」「電源を用意する」「家族で連絡の決まりを作る」の 4 つを少しずつ進めておくと安心です。

携帯電話が圏外になるパターンは「携帯が圏外になる災害のパターンと、つながる手段の優先順位」、地震で光回線が止まったときの手順は「地震で光回線が止まったとき、Starlink に切り替える手順」で解説しています。

参考にした情報

よくある質問

Q. 南海トラフ地震で停電はどれくらい続く想定ですか?
A. 国の 2025 年 3 月の想定では、被災直後に最大約 2,950 万軒が停電します。電力の融通で一部は数日で解消しますが、電柱の被害による停電の解消には約 1〜2 週間かかるとされています。
Q. 南海トラフ地震で携帯電話はつながらなくなりますか?
A. 想定では、基地局の非常用電源が切れる地震の 1 日後に、止まる基地局の割合が最も高くなります。四国 4 県では最大 85% です。被災直後も、電話が集中して大部分の通話が難しくなるとされています。
Q. 高台に避難したあと、インターネットは使えますか?
A. 周りの基地局が動いていれば使えますが、地震の翌日にかけてつながりにくくなる想定です。衛星の回線と電源を避難先で使えるようにしておけば、基地局が止まってもインターネットにつながります。ただし、避難のときは持ち出しより命を優先してください。
Q. Starlink があれば南海トラフ地震に備えられますか?
A. 通信の備えの 1 つにはなりますが、それだけでは足りません。電気がないと動かないので電源が必要ですし、津波で浸水する場所では使えません。避難場所の確認、携帯電話の会社を分ける、家族の連絡の決まりとあわせて備えてください。

最終更新:2026年10月17日。料金・仕様は 2026年9月 時点の情報です。契約前に公式サイトで最新情報をご確認ください。

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