この記事の結論
防災用 Starlink の成否は電源で決まります。目安は Standard なら 1,000Wh クラス、Mini なら 300Wh クラスから。連続運用ではなく「使う時間を決める」運用にすれば、同じ電源で持続日数が数倍に伸びます。
まず消費電力を知る
| 端末 | 価格 | 消費電力(目安) | 重量 | DC 直結 | ルーター | 設置工事 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Starlink Standard キット | 55,000円セール時 30,000円 前後 | 60W(40〜75W) | 2.9kg | ×(AC のみ) | 別体(Wi-Fi ルーター同梱) | 置くだけなら不要。固定・配線は工事推奨 |
| Starlink Mini | 34,800円 | 22W(15〜40W) | 1.1kg | ○ | 本体内蔵 | 工事不要 |
2026年8月時点。消費電力は運営者の実測と公開情報からの目安です。
Standard は Wi-Fi ルーターが別体で、アンテナのモーターとヒーターも含めて 60W 前後。Mini はルーター内蔵で 20W 前後です。この差が停電時の持続時間に 3 倍の差として効いてきます。
計算式はシンプル
稼働時間(h)= 電源容量(Wh)× 効率 ÷ 消費電力(W)
効率は、AC100V 経由なら 85%、Mini を USB-C や 12V で直結するなら 92% 程度と見ておくと実態に近い数字になります。
| 電源容量 | Standard(60W・AC) | Mini(22W・DC 直結) |
|---|---|---|
| 250Wh | 約 3.5 時間 | 約 10 時間 |
| 500Wh | 約 7 時間 | 約 21 時間 |
| 1,000Wh | 約 14 時間 | 約 42 時間 |
| 2,000Wh | 約 28 時間 | 約 84 時間 |
自分の電源容量で計算したい人は電源シミュレーターを使ってください。ソーラー併用時の日数も出ます。
「連続」ではなく「時間を決めて使う」
災害時に一日中動画を見る人はいません。実際に必要なのは、家族の安否確認、自治体の情報、天気とニュース。合計で 1 日 2〜3 時間あれば足ります。
1 日 3 時間運用に絞ると、
- Standard + 1,000Wh:約 4.7 日
- Mini + 1,000Wh:約 14 日
- Mini + 250Wh:約 3.5 日
になります。「つけっぱなしで 14 時間」より「朝夕使って 5 日」の方が、災害の実態に合っています。
電源の選び方:LFP・1,000Wh・AC 出力 300W 以上
ポータブル電源を防災用に選ぶ基準は 3 つです。
- 電池はリン酸鉄(LFP):サイクル寿命が 3,000 回以上で、満充電で置いておいても劣化が小さい。防災用は「使わずに保管」が基本なので、これが一番大事
- 容量は 1,000Wh クラス:Standard を一晩動かせて、スマホ・ライト・ラジオの充電も余裕がある
- AC 出力は 300W 以上:Starlink 自体は 100W 以下だが、電気ポットや小型炊飯器と同時に使いたい場面が必ず来る
PR | 稼働時間は 60W / 22W の連続使用で試算
EcoFlow
DELTA 2
- 容量
- 1,024 Wh
- AC 出力
- 1,500 W
- 重量
- 12 kg
- 電池
- LFP
- Standard 連続
- 約 14.5 時間
- Mini 連続
- 約 42.8 時間
向き:Standard を一晩以上動かす基準機
参考価格 99,800円 前後
価格と在庫を見るJackery
ポータブル電源 1000 New
- 容量
- 1,070 Wh
- AC 出力
- 1,500 W
- 重量
- 10.8 kg
- 電池
- LFP
- Standard 連続
- 約 15.2 時間
- Mini 連続
- 約 44.7 時間
向き:軽さと容量のバランス
参考価格 109,800円 前後
価格と在庫を見るAnker
SOLIX C1000
- 容量
- 1,056 Wh
- AC 出力
- 1,800 W
- 重量
- 12.9 kg
- 電池
- LFP
- Standard 連続
- 約 15.0 時間
- Mini 連続
- 約 44.2 時間
向き:急速充電重視
参考価格 99,900円 前後
価格と在庫を見るMini だけを動かす目的なら、250Wh クラスでも 10 時間動きます。持ち出し前提なら 3〜4kg の軽さは大きな利点です。
ソーラーパネル併用の現実
ソーラーの発電量は「定格 × 日照時間 × 0.7」で見積もると外れません。100W パネルなら晴れの日で 100 × 3.5 × 0.7 ≒ 245Wh。Mini を 1 日 10 時間動かす電力(約 240Wh)とほぼ釣り合います。
Standard を回すには 200W 以上のパネルが必要で、曇りが続くと足りません。「日中にソーラーで充電し、夜は使用時間を絞る」という運用が前提になります。
車から給電する
車は走行できれば最大の電源です。
- Mini:12V 直結ケーブル(USB-C PD 100W のシガーアダプタでも可)で直接動く。アイドリング中に約 22W なので燃料消費は無視できる
- Standard:正弦波インバーター(150W 以上)を車のバッテリーにつなぐ。長時間はバッテリー上がりに注意し、エンジンをかけながら使う
失敗しやすいポイント
USB-C 給電の落とし穴
Mini は「USB-C で動く」と言われますが、PD 100W に対応したポートが必要です。45〜65W の出力では衛星捕捉時のピーク電力に足りず、再起動を繰り返します。ポータブル電源側の USB-C 出力 W 数を必ず確認してください。
- 延長コードが屋外で濡れる → 防雨型コネクタか、電源側を屋内に置いてケーブルだけ出す
- ヒーターで消費が跳ね上がる → 降雪時は Standard のスノーメルトを「自動」から「オフ」にすると消費が抑えられる(雪が積もったら手で払う)
- 電源の自己放電 → 月 1 回残量チェック。LFP でも半年放置で 10〜20% は減る
平時から同じ構成で使う
一番の防災訓練は「普段からポータブル電源経由で Starlink を動かす」ことです。UPS 代わりに AC 入力を常時つないでおけば(パススルー対応機)、停電の瞬間に自動で電池運転に切り替わり、何もしなくても通信が続きます。
まとめ
- Standard 60W・Mini 22W。1,000Wh で 14 時間 / 42 時間
- 連続運用より「朝夕 1 時間ずつ」の方が現実的で、持続日数が数倍になる
- 電源は LFP・1,000Wh・AC 300W 以上。Mini だけなら 250Wh でも可
- USB-C は PD 100W 必須。45W では動かない
- 平時からポータブル電源経由で動かして、切り替えを自動にしておく