地震のあと、家の光回線が使えなくなることがあります。Starlink を備えていれば、光回線とは別の経路(衛星)でインターネットにつなげます。ただ、いざというときに慌てないためには、切り替えの手順を先に決めておくことが大切です。
この記事では、光回線が止まったときに Starlink へ切り替える手順と、普段からやっておく準備をまとめました。
注意
揺れがおさまるまでは、身の安全を最優先にしてください。余震が続く中で屋根に上ったり、ベランダの手すりから身を乗り出したりしてアンテナを置くのは危険です。
まず確かめる:止まったのは「光回線」か「電気」か
光回線が使えなくなる原因は、大きく 2 つに分かれます。
- 家が停電している:光回線の終端装置(ONU)や Wi-Fi ルーターが止まっています。Starlink も電気がないと動かないので、ポータブル電源などが必要です。
- 電気は来ているのに、つながらない:光ファイバーの断線や、通信会社の設備の停電など、回線の側で障害が起きています。総務省も、災害時は通信ビルの停電や中継ケーブルの損傷で、固定電話やインターネットに障害が出るおそれがあると説明しています。
ONU のランプの表示(名前は機種によって違います)や、スマートフォンがつながれば通信会社の障害情報のページで、どちらかを見分けられます。回線の側の障害は、道路の寸断などで復旧に時間がかかることがあります。
Starlink に切り替える 7 つの手順
1. アンテナを安全な場所に置く
付属のスタンドで、地面やベランダの床など、低くて平らな場所に置きます。余震で倒れても人や窓に当たらない場所を選び、ケーブルに足を引っかけないように通します。
2. 空が開けているかを確かめる
木や建物、屋根で空がさえぎられない場所を選びます。窓ガラス越しは電波が弱くなるので、アンテナは屋外に出します。迷ったら、Starlink アプリの「設置場所を探す」で空の様子を確かめます。
3. 電源をつなぐ
停電していなければ、ルーターの電源装置をコンセントにつなぎます。停電しているときは、ポータブル電源の AC コンセントにつなぎます。公式仕様書では、Standard キットの消費電力は平均 75〜100W です。手元の電源で何時間使えるかは、電源シミュレーターで計算できます。
4. アプリで「オンライン」になったか確かめる
電源を入れてから衛星とつながるまで、数分かかります。Starlink アプリでオンラインになったことを確かめ、向きの調整を求められたら、アプリの「調整」の指示どおりに合わせます。
5. スマートフォンやパソコンをつなぐ
普段から Starlink の Wi-Fi の名前とパスワードを光回線のルーターと同じにしておけば、光回線のルーターを止めるだけで、家族のスマートフォンやパソコンが自動で Starlink につながります(準備の方法は後で説明します)。同じにしていない場合は、それぞれの機器の Wi-Fi の設定で Starlink のネットワークを選びます。
6. スタンバイモードにしている場合は、高速のプランに戻す
普段はスタンバイモード(一時停止)にしている場合、そのままでも最大 500kbps の低速で使えます。文字の連絡には足りますが、動画やビデオ通話には向きません。高速で使うには、アカウントでサービスを再開します。
- starlink.com にログインし、「サブスクリプション」から使う回線を選ぶ
- 「管理」→「サービスを再開」を選ぶ
- 使うプランを選んで「確定」を押す
公式ヘルプセンターによると、スタンバイモード中は携帯が圏外でもアカウントやアプリを使え、二段階認証もメールで済ませられます。低速の Starlink につないだまま手続きができるということです。再開すると、その月の料金が日割りですぐに請求されます。
ポイント
スタンバイモードにしても、ホームプランの枠は確保されません。地域の枠が埋まっていると、もとのホームプランに戻れないことがあります。その場合も、その地域で使えるプランなら、すぐに再開できます。
7. 使い方を絞って、電源を長持ちさせる
停電中は、使う時間と用途を決めると電源が長持ちします。家族の安否確認や、自治体・気象庁の情報の確認など、必要なことを先に済ませます。動画は画質を下げ、スマートフォンやパソコンの大きなアップデートは後回しにします。
普段からやっておく準備
Wi-Fi の名前とパスワードを光回線と同じにしておく
Starlink アプリの「設定」→「ルーター」で、Wi-Fi の名前(ネットワーク名)とパスワードを変えられます。光回線のルーターと同じ名前・同じパスワードにしておくと、切り替えのときに家族の機器の設定を変えずに済みます。
ただし、同じ名前の Wi-Fi を 2 台同時に出すと、機器がどちらにつながるか安定しません。普段は Starlink のルーターを止めておき、光回線が止まったら光回線のルーターの電源を切るようにします。
機材と電源をひとまとめにしておく
- アンテナ、スタンド、ケーブル、ルーター、電源装置を 1 か所にまとめて保管する
- ケーブルを屋内に通す道(窓や換気口など)と、アンテナを置く場所を決めておく
- ポータブル電源を満充電にし、ときどき残量を確かめる
- 月に 1 回は電源を入れて、つながるかどうかを確かめ、ソフトウェアの更新も済ませておく
家族と手順を共有する
手順を紙に書いて、機材と一緒に置いておきます。自分がいないときでも家族が切り替えられるようにしておくと安心です。通信会社の契約番号と、障害情報を見られるページも控えておきます。
光回線が戻ったら
光回線が復旧したら、Starlink のルーターを止め、光回線のルーターの電源を入れます。普段はスタンバイモードで持つなら、アカウントの「サブスクリプション」→「管理」→「現在のサービスを一時停止」で、スタンバイモードに戻します。請求期間が終わる前に一時停止した場合、その期間の残りは今のプランのまま使えます。
自動で切り替えたい場合
「マルチ WAN」や「フェイルオーバー」に対応したルーターを使うと、光回線と Starlink の両方をつないでおき、光回線が止まったら自動で Starlink に切り替えられます。
- Starlink を常に電源につないでおく必要があるので、そのぶん電気代がかかります。
- スタンバイモードのままでは最大 500kbps の低速なので、高速で使うにはサービスの再開が必要です。
- Starlink のルーターの無線を止めて他社のルーターに任せる「バイパスモード」もありますが、元に戻すにはルーターの初期化が必要です。
設定に自信がない場合は、手動で切り替える方法で十分です。
地震の前にやっておくことチェックリスト
- 未完了: Starlink の Wi-Fi の名前とパスワードを、光回線のルーターと同じにした
- 未完了: アンテナを置く場所と、ケーブルを通す道を決めた
- 未完了: 機材一式と、切り替え手順のメモを 1 か所にまとめた
- 未完了: ポータブル電源を満充電にした
- 未完了: スタンバイモードで持つ場合、アカウントにログインできることを確かめた
停電中の電源の組み方は「停電時に Starlink は何時間動く?ポータブル電源の容量と電源構成の正解」、携帯がつながらないときの手段は「携帯が圏外になる災害のパターンと、つながる手段の優先順位」で解説しています。