停電に備えて Starlink の電源を用意しようとすると、「UPS(無停電電源装置)」と「ポータブル電源」のどちらを選ぶかで迷います。どちらも電池で電気を送る機器ですが、得意なことはまったく違います。UPS は「一瞬も止めない」ための機器、ポータブル電源は「長く動かす」ための機器です。
この記事では、メーカーの公表している仕様をもとに、UPS とポータブル電源の違いと、Starlink の停電対策にはどちらが向くかをまとめました。
結論
結論:短い停電や一瞬の電圧の落ち込みで Starlink を止めたくないなら UPS、何時間も続く停電で使い続けたいならポータブル電源が向いています。災害への備えとしては、容量の大きいポータブル電源を基本にし、切り替えの速さが必要なら UPS 機能付きのポータブル電源や、UPS との組み合わせを検討するのが現実的です。
UPS とポータブル電源の違い
| 比べる点 | UPS(無停電電源装置) | ポータブル電源 |
|---|---|---|
| いちばんの目的 | 停電の瞬間に電気を途切れさせない | コンセントのない場所や停電中に、長く電気を使う |
| 切り替えの速さ | 速い(例:8ms 以内) | 製品による。UPS 機能のない製品は、つなぎ直しが必要 |
| 停電中に使える時間 | 短い(数分〜数十分が目安) | 長い(容量しだい) |
| 持ち運び | 置いたまま使う | 持ち運べる。屋外や車でも使える |
| 電池 | 鉛蓄電池の製品が多い(交換しながら使う) | リチウムイオン電池の製品が多い |
UPS が得意なこと
UPS は、ふだんは家のコンセントの電気をそのまま機器に送り、停電した瞬間に内蔵の電池からの電気に切り替える機器です。パソコンやネットワークの機器が、停電や一瞬の電圧の落ち込みで止まらないようにするために使われます。
たとえば、オムロンの家庭や小さな事務所向けの UPS「BY75SW」の仕様(2025 年 9 月時点の資料)は次のとおりです。
| 項目 | BY75SW の仕様 |
|---|---|
| 出力容量 | 750VA/450W |
| 給電の方式 | 常時商用給電方式(ふだんはコンセントの電気をそのまま送る) |
| 停電への切り替え時間 | 8ms 以内 |
| 停電中の電気の波の形 | 正弦波(家庭のコンセントと同じ形) |
| 停電中に使える時間の目安 | 100W のとき約 30 分、200W のとき約 12 分(メーカーの参考値) |
| 電池の寿命の目安 | 4〜5 年 |
8ms は 1,000 分の 8 秒です。この速さで切り替わるので、つないだ機器は停電に気づかずに動き続けられます。一方で、停電中に使える時間は数分から数十分が目安で、長い停電をしのぐための機器ではありません。UPS の本来の役目は、停電のあいだにパソコンなどを安全に終了させたり、短い停電をやり過ごしたりすることです。
注意
UPS の中には、停電中に出す電気の波の形が家庭のコンセントと違う機種もあります。仕様表の「出力波形」を見て、停電中(バックアップ時)も「正弦波」と書かれた機種を選ぶと安心です。
ポータブル電源が得意なこと
ポータブル電源は、大きな電池にコンセントや USB の差し込み口がついた機器です。容量が大きく、持ち運べるので、長い停電や、車・屋外での利用に向いています。
ただし、ポータブル電源の多くは「停電の瞬間に自動で切り替える」ことを前提に作られていません。家のコンセントから充電しながら機器に電気を送れる製品でも、停電したときに一瞬電気が途切れることがあります。
UPS 機能付きのポータブル電源
最近は「UPS 機能」をうたうポータブル電源も増えています。切り替えの時間は製品によって違い、Anker のブログ(英語)では、10ms ならデスクトップのパソコンやネットワークの機器の多くに足りる速さで、20〜30ms は照明や充電器など、影響を受けにくい機器向けの数字だと説明されています。同じブログでは、どの数字でもすべての機器で動くとは限らないので、実際にコンセントを抜いて試しておくようすすめています。
UPS 機能付きのポータブル電源を選ぶときは、仕様表で「切り替え時間」を確かめ、買ったら一度、実際の使い方で試しておきます。
Starlink の停電対策にはどちらが向くか
長い停電に備えるなら、ポータブル電源
台風や地震の停電は、数時間から数日続くことがあります。この場合に必要なのは「長く動かせる容量」です。公式の仕様では、Starlink の Standard キットの平均の消費電力は 75〜100W です。UPS の参考値(100W で約 30 分)を見ても分かるとおり、UPS だけで長い停電をしのぐのは難しく、容量の大きいポータブル電源が基本になります。
自分の家の組み合わせでどのくらい使えるかは、電源シミュレーターで目安を確かめられます。
PR | 稼働時間は 60W / 22W の連続使用で試算
EcoFlow
DELTA 2
- 容量
- 1,024 Wh
- AC 出力
- 1,500 W
- 重量
- 12 kg
- 電池
- LFP
- Standard 連続
- 約 14.5 時間
- Mini 連続
- 約 42.8 時間
向き:Standard を一晩以上動かす基準機
参考価格 99,800円 前後
価格と在庫を見るJackery
ポータブル電源 1000 New
- 容量
- 1,070 Wh
- AC 出力
- 1,500 W
- 重量
- 10.8 kg
- 電池
- LFP
- Standard 連続
- 約 15.2 時間
- Mini 連続
- 約 44.7 時間
向き:軽さと容量のバランス
参考価格 109,800円 前後
価格と在庫を見るAnker
SOLIX C1000
- 容量
- 1,056 Wh
- AC 出力
- 1,800 W
- 重量
- 12.9 kg
- 電池
- LFP
- Standard 連続
- 約 15.0 時間
- Mini 連続
- 約 44.2 時間
向き:急速充電重視
参考価格 99,900円 前後
価格と在庫を見る一瞬も止めたくないなら、UPS 機能を足す
Starlink は、電気が一度途切れると再起動し、衛星とつながり直すまで少し時間がかかります。在宅勤務のビデオ会議中など、短い停電や一瞬の電圧の落ち込みでも回線を切りたくない場合は、切り替えの速い UPS や、UPS 機能付きのポータブル電源が役に立ちます。
使い方別のおすすめ
| こんな人 | 向いている組み合わせ |
|---|---|
| 災害で長く停電したときに備えたい | 容量の大きいポータブル電源 |
| 長い停電にも備えつつ、ふだんの瞬停でも切りたくない | 切り替えの速い UPS 機能付きのポータブル電源 |
| 仕事のパソコンと回線を短い停電から守りたい | UPS(停電のあいだに作業を保存して終了する) |
選ぶ前のチェックリスト
- 未完了: 守りたいのは「一瞬の停電」か「長い停電」か、を決めた
- 未完了: 仕様表で、停電への切り替え時間を確かめた
- 未完了: 仕様表で、停電中の出力波形が「正弦波」かを確かめた
- 未完了: 出力(W)が、つなぐ機器の合計より大きいことを確かめた
- 未完了: 買ったあと、実際にコンセントを抜いて試す日を決めた
- 未完了: 電池の交換の時期(UPS)や、保管中の充電(ポータブル電源)の予定を決めた
Starlink を災害時の「もう一本の回線」にする
Starlink 公式サイトで最新料金を見るまとめ
UPS は「一瞬も止めない」ための機器で、停電中に使える時間は短めです。ポータブル電源は「長く動かす」ための機器で、UPS 機能のない製品は停電の瞬間に一度途切れることがあります。Starlink の災害への備えとしては、容量の大きいポータブル電源を基本にし、切り替えの速さが必要な人は UPS 機能を足す、と考えると選びやすくなります。
電源の組み方は「停電時に Starlink は何時間動く?ポータブル電源の容量と電源構成の正解」、在宅勤務での使い方は「Starlink で在宅勤務はできる?」、停電中の節約は「停電中に Starlink の電力を節約する使い方」もご覧ください。