停電が 1 日を超えると、ポータブル電源だけでは足りなくなることがあります。そこで候補になるのが、発電機や、電気自動車・ハイブリッド車などの「車の電気」です。車の電気を家に送る V2H(ブイツーエイチ)という設備もあります。
この記事では、国(経済産業省・国土交通省)のマニュアルと消費者庁の注意喚起をもとに、長い停電で Starlink を動かすための電源の選択肢と、それぞれの注意点をまとめました。
結論
結論:長い停電に備えるなら、ふだんから使える「ポータブル電源」を基本にして、足りない分を発電機や車の電気で補う考え方が現実的です。発電機は一酸化炭素中毒の危険があるので、必ず屋外の風通しのよい場所で使い、建物の中や車の中では絶対に使わないでください。電気自動車などがあるなら、車の 100V コンセントや V2H も心強い選択肢です。
長い停電で使える電源の選択肢
国のマニュアル(災害時における電動車の活用促進マニュアル、2022 年 3 月 25 日)の整理をもとに、家庭で使える電源を比べると次のようになります。
| 電源 | 出せる電気の目安 | よいところ | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| ポータブル電源 | 製品による | 屋内で使える。音や排気ガスが出ない | 容量を使い切ったら充電が必要 |
| ポータブル発電機 | 900VA〜4.5kVA | 燃料があれば電気を作り続けられる | 排気ガスが出るので屋内では使えない。燃料の保管と劣化 |
| 車の 100V コンセント | 最大 1.5kW(1,500W) | 工事がいらない。車だけで電気をとれる | 100V コンセントがある車に限る。エンジンが動く車は換気が必要 |
| 可搬型の給電器 | 1.5〜9kW(機器による) | 車の給電の差し込み口から、持ち運べる機器で電気をとれる | 給電の差し込み口がある電気自動車などに限る。機器が必要 |
| V2H(充放電設備) | 3〜9kW(機器による) | 家の分電盤につないで、家全体に電気を送れる | 設置と配線の工事が必要。条件を満たす車に限る |
公式の仕様では、Starlink の Standard キットの平均の消費電力は 75〜100W です。どの電源でも、Starlink だけを動かすには出力は十分です。違いは「どこで使えるか」と「どのくらい続けられるか」です。手元の電源でどのくらい使えるかの目安は、電源シミュレーターで確かめられます。
発電機:燃料がある限り使えるが、使う場所に注意
ポータブル発電機は、ガソリンやカセットボンベなどの燃料で電気を作ります。燃料を足せば電気を作り続けられるのが強みです。
一酸化炭素中毒に注意
消費者庁・経済産業省・NITE(製品評価技術基盤機構)は、停電のときの発電機による一酸化炭素中毒に注意するよう呼びかけています。注意喚起のおもな内容は次のとおりです。
- 発電機は、屋内では絶対に使わない
- 屋外でも、車の中やテントの中で使うと、屋内と同じかそれ以上に危険
- 屋外では、排気ガスが家の中に流れ込まないよう、出入口や窓から離れた、風通しのよい場所で使う
一酸化炭素は色もにおいもないので、気づかないうちに中毒になるおそれがあります。発電機を使った死亡事故も起きています。
注意
発電機を家の中で使うのは、たとえ窓を開けていても危険です。Starlink のアンテナとルーターに電気を送るときは、発電機は屋外に置き、屋外用の延長コードで家の中に電気を引き込みます。
燃料の保管
国のマニュアルでは、ガソリン・軽油・灯油などの燃料は劣化に気をつけるよう書かれています。一方、LP ガスは劣化せず長く保存できるとされています。発電機を備えるなら、燃料の種類と保管の方法、定期的な試運転の予定も一緒に決めておきます。
車の電気:ハイブリッド車や電気自動車が「電源」になる
車の 100V コンセントから
ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・電気自動車・燃料電池車の中には、車内に 100V のコンセントがある車種があります(メーカーのオプションの場合もあります)。国のマニュアルでは、最大出力は 1,500W とされています。工事がいらず、車だけで電気をとれるのが利点です。
ふつうのガソリン車(従来車)は、国のマニュアルの整理では、コンセントが最大 100W、シガーソケットが 12V・最大 120W です。ハイブリッド車などと比べると、出せる電気はずっと小さくなります。
可搬型の給電器から
電気自動車などの給電の差し込み口(急速充電用の差し込み口)に、持ち運べる給電器をつなぐ方法です。機器によって 1.5〜9kW の電気をとれます。
V2H で家全体に送る
V2H は、車の電気を家の分電盤に送る設備です。設置と配線の工事が必要ですが、停電のときに家全体のコンセントに電気を送れるので、Starlink のルーターも、ふだんと同じ場所のコンセントのまま使えます。
車の電気を使うときの注意
国のマニュアルでは、次のような注意点が挙げられています。
- 給電中に車が動き出さないよう、シフトを P にして、パーキングブレーキをかける
- ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車はエンジンが動くことがあるので、車庫の中など換気の悪い場所や、雪が積もって囲まれた場所では使わない
- 電源コードがドアに挟まれたり、雨水がかかったりしないようにする
- コードリールを使うときは、コードを全部引き出して使う(発熱を防ぐ)
- 1,500W 以内でも、起動のときに大きな電気を使う機器では、車の給電が自動で止まることがある
エンジンのない電気自動車と燃料電池車は排気ガスが出ないので、マニュアルでは屋内でも給電できるとされています。ただし、燃料電池車は酸素を使うので、閉め切った場所での利用は避けるよう書かれています。
ポイント
雪の日に、エンジンが動く車の中で過ごしながら給電するときは、マフラーのまわりの雪をこまめに取り除いてください。JAF の検証では、ガソリン車のマフラーの出口が雪でふさがると、車内の一酸化炭素の濃度が 1 分 24 秒で警報の値(50ppm)に達しました。
どれを選べばいいか
| こんな家 | 考え方 |
|---|---|
| マンション・集合住宅 | ポータブル電源が基本。発電機は置き場所の確保が難しい |
| 一戸建てで、屋外に発電機を置ける | ポータブル電源に、発電機を足す。燃料の保管と試運転を習慣にする |
| ハイブリッド車・電気自動車がある | 車の 100V コンセントや給電器を使う。車の取扱説明書で使い方を確かめておく |
| 電気自動車があり、家を建てる・建て替える | V2H も検討する。家全体に電気を送れる |
どの組み合わせでも、Starlink は「電気さえあれば、地域の設備が止まっても使える」回線です。電源をひとつに頼らず、ポータブル電源を中心に、もうひとつの電源を足しておくと安心です。
PR | 稼働時間は 60W / 22W の連続使用で試算
EcoFlow
DELTA 2
- 容量
- 1,024 Wh
- AC 出力
- 1,500 W
- 重量
- 12 kg
- 電池
- LFP
- Standard 連続
- 約 14.5 時間
- Mini 連続
- 約 42.8 時間
向き:Standard を一晩以上動かす基準機
参考価格 99,800円 前後
価格と在庫を見るJackery
ポータブル電源 1000 New
- 容量
- 1,070 Wh
- AC 出力
- 1,500 W
- 重量
- 10.8 kg
- 電池
- LFP
- Standard 連続
- 約 15.2 時間
- Mini 連続
- 約 44.7 時間
向き:軽さと容量のバランス
参考価格 109,800円 前後
価格と在庫を見るAnker
SOLIX C1000
- 容量
- 1,056 Wh
- AC 出力
- 1,800 W
- 重量
- 12.9 kg
- 電池
- LFP
- Standard 連続
- 約 15.0 時間
- Mini 連続
- 約 44.2 時間
向き:急速充電重視
参考価格 99,900円 前後
価格と在庫を見る準備のチェックリスト
- 未完了: ポータブル電源を満充電にし、置き場所を決めた
- 未完了: 発電機を使うなら、屋外の置き場所と、屋外用の延長コードを用意した
- 未完了: 発電機の燃料の種類と保管方法、試運転の予定を決めた
- 未完了: 車の 100V コンセントや給電の機能があるか、車の取扱説明書で確かめた
- 未完了: 家族全員が「発電機は家の中や車の中で使わない」ことを知っている
Starlink を災害時の「もう一本の回線」にする
Starlink 公式サイトで最新料金を見るまとめ
長い停電に備える電源は、ポータブル電源を中心に、発電機や車の電気で補うのが現実的です。発電機は屋外の風通しのよい場所でしか使えず、エンジンが動く車も換気の悪い場所では使えません。ハイブリッド車や電気自動車があれば、100V コンセントや V2H が心強い電源になります。
電源の組み方は「停電時に Starlink は何時間動く?ポータブル電源の容量と電源構成の正解」、停電中の節約は「停電中に Starlink の電力を節約する使い方」、瞬間の停電の対策は「UPS とポータブル電源、Starlink にはどちらが向く?」をご覧ください。