Starlink は、光回線や携帯の基地局が止まっても使えることがある心強い回線です。一方で、どんな家にも向いているわけではありません。契約してから「思っていたのと違った」とならないように、先に知っておきたいデメリットを 8 つにまとめました。
料金や仕様は、Starlink の公式サイトとヘルプセンターの情報(2026 年 9 月時点)をもとにしています。
ポイント
8 つのうち、あとから対策しにくいのは「1. 空が見えない」「5. ポート開放ができない」「7. 地域によっては申し込めない」の 3 つです。先にここを確かめると、自分の家に向いているかがすぐに分かります。
1. 空が見えない場所では使えない
Starlink のアンテナは、上空を移動する衛星と通信しています。公式ヘルプセンターでも、空がよく見える場所に置く必要があり、木の枝や柱、屋根などにさえぎられるとサービスが途切れる原因になると説明されています。
- 高い建物に囲まれた家や、すぐ近くに大きな木がある庭では、つながりにくいことがあります。
- マンションの低い階で、ベランダの上を上の階がふさいでいる場合も、見える空が狭くなります。
- 公式仕様では、Standard キットの視野は 110 度です。アンテナの前に、広い範囲の空が開けている必要があります。
空の一部がふさがっていても、衛星を切り替えながら通信する仕組みなので、すぐに使えなくなるわけではありません。ただ、ふさがる範囲が広いほど途切れやすくなります。注文の前に、Starlink アプリの障害物チェック(ホーム画面の「設置場所を探す」)で、置きたい場所の空を確かめておくのが確実です。
2. 電源がないと動かない
Starlink は停電すると止まります。アンテナとルーターに電気が必要だからです。公式仕様書では、Standard キットの消費電力は平均 75〜100W です。
「災害に強い」と言われるのは、地域の光回線や携帯の基地局が止まっても影響を受けにくいからで、電気がなくても動くわけではありません。停電中も使いたいなら、ポータブル電源などを自分で用意する必要があります。手元の電源で何時間使えるかは、電源シミュレーターで計算できます。
3. 大雨・大雪のときは遅くなったり途切れたりする
公式サイトでは、激しい雨や強風、厳しい気温でも使えるように設計されていると説明しています。ただし公式ヘルプセンターでも、極端な天気のときは大雨や強風の影響で速度が落ちたり、まれに途切れたりすることがあるとしています。
雪については、アンテナを温めて雪を溶かす融雪機能があります。ただし大量の雪でアンテナが完全に覆われると、接続が途切れがちになったり、一時的に止まったりすることがあります。融雪機能は電気を使うため、雪の日は消費電力も増えます。
4. 速度は保証されず、混み合う時間は遅くなる
公式サイトのホームプランの説明にも、表示している速度は出せる最高値で保証ではないこと、混雑する時間には遅くなることが明記されています。利用が集中する夜の時間帯などは、昼間より遅くなることがあります。
応答の速さ(遅延)は、動画やビデオ会議、一般的なオンラインゲームには困らない水準です。ただし光回線より遅延が大きいため、わずかな差が勝敗を分ける対戦ゲームでは気になることがあります。途切れた回数や時間は、アプリの統計の画面で確認できます。
5. ポート開放ができない
公式ヘルプセンターによると、ホームプランと ROAM プランは「CGNAT」という方式で接続するため、外から自宅の機器へ入ってくる通信は遮断されます。Starlink のルーターもポート開放に対応していません。外から直接つなげる IP アドレス(パブリック IP)は、優先プランなど一部のプランのオプションです。
次のような使い方をしている人は、申し込む前に確認してください。
- 自宅でサーバーやホームページを公開している
- 外出先から自宅の NAS や録画機、パソコンに直接つないでいる(メーカーのクラウドを経由する機器なら問題ないことが多い)
- ゲーム機のオンライン対戦で、ポート開放をして通信を安定させている
6. 月額は光回線より高くなりやすい
Starlink の月額は、ホームプランが 7,100 円、一部の地域で選べるホーム 100Mbps が 4,900 円です(2026 年 9 月時点)。光回線は月 4,000〜6,000 円程度が一般的なので、光回線が問題なく使える家では、Starlink のほうが割高になりやすいです。
端末代もかかります。ただし地域やキャンペーンによっては、端末代がかからない場合もあります。2026 年 9 月時点で実施中のキャンペーンは「今だけ 0 円」のページにまとめています。
| プラン | 月額 | データ | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| ホーム 100Mbps | 4,900円 | 無制限(速度は最大 100Mbps) | 自宅の固定回線代わり。速度より価格を優先したい人 |
| ホーム | 7,100円 | 無制限(速度は最大 400Mbps 超) | 自宅で常用しつつ、災害時の主回線にもしたい人 |
| ROAM 100GB | 6,920円 | 100GB/月(使い切った後は低速で無制限) | 普段は使わず、災害・停電時や旅行時だけ使いたい人 |
| ROAM 無制限 | 15,600円 | 無制限 | 車中泊・二拠点で毎月たくさん使う人 |
2026年9月時点の料金。最新は公式サイトで確認してください。
7. 地域によっては申し込めず、解約するとすぐには戻れない
ホームプランは、地域ごとに利用できる人数に上限があります。公式の提供状況マップで「売り切れ」と表示される地域では、すぐには申し込めず、予約金を払って空きを待つことになります。
また公式ヘルプセンターでは、解約すると地域の提供状況や容量によっては、すぐに再開できない場合があると説明されています。「しばらく使わないから解約しよう」と考えている場合は注意が必要です。
月額を抑えながら契約を残しておく方法として、スタンバイモード(一時停止)があります。2026 年 6 月から月 1,585 円で、最大 500kbps の低速の通信が使えます。ただし、スタンバイモードにしてもホームプランの枠が確保されるわけではないことも、公式に明記されています。
8. 設置と配線に手間がかかる
付属のスタンドで庭やベランダに置くだけなら、工事はいりません。ただし、アンテナとルーターをつなぐケーブルを屋内に引き込む必要があります。Standard キット(Standard 4 X)の場合、ケーブルの長さは 15m です。
- 屋根や外壁に固定したい、ケーブルを壁に通してきれいに引き込みたい場合は、設置工事を頼むことになります。
- 賃貸住宅やマンションでは、ベランダへの設置や壁の穴あけに、管理会社や管理組合の許可が必要になることがあります。
- ルーターは屋内用です。雨の当たらない場所に置きます。
設置工事の案内は料金早見表にまとめています。
向いていない家・向いている家
| 確かめること | 向いていない家 | 向いている家 |
|---|---|---|
| いまの回線 | 光回線が安定していて、料金にも不満がない | 光回線が来ていない・遅い・工事ができない |
| 空の見え方 | 建物や木で、空がほとんど見えない | 庭・屋根・ベランダなど、空が広く見える場所がある |
| 使い方 | 自宅サーバーやポート開放が欠かせない。対戦ゲームで遅延にこだわる | 動画・在宅勤務・ビデオ通話が中心 |
| 災害への備え | 停電時の電源まで用意するつもりはない | 停電や孤立に、電源とセットで備えたい |
| 住んでいる地域 | 都市部で、ほかの連絡手段も多い | 山間部・沿岸・離島など、道路や通信が途切れやすい |
都市部の家で「災害時の連絡手段」を確保したいだけなら、Starlink より先に検討できる方法もあります。「災害時の通信手段を比較|Starlink・衛星電話・複数キャリア eSIM・無線機はどれが正解か」で使い分けを解説しています。
デメリットを小さくする 4 つの方法
- 注文の前に空を確かめる:Starlink アプリの障害物チェックで、置きたい場所の空を確認します。
- 30 日間のお試しを使う:公式の 30 日間トライアルがあり、満足できなければ 30 日以内の返品で返金を受けられます(送料を除く)。光回線から乗り換えるなら、この期間は両方を使って比べると安心です。
- 光回線と併用するなら「備えの回線」にする:普段はスタンバイモード(月 1,585 円)で止めておき、光回線が止まったときだけ高速のプランに戻す使い方ができます。キャンペーンの対象プランや一部のレンタル端末では使えないので、申し込む前に確認してください。
- 電源とセットで考える:停電時に使いたいなら、ポータブル電源の容量まで決めておきます。停電中の電源の組み方は「停電時に Starlink は何時間動く?ポータブル電源の容量と電源構成の正解」で解説しています。
まとめ
Starlink の弱点は、空・電源・料金・ポート開放の 4 つにまとまります。光回線が安定して使える都市部の家なら、無理に乗り換える必要はありません。一方、光回線が来ていない地域や、災害で道路や通信が途切れやすい地域では、これらの弱点を差し引いても、代わりになる回線がほとんどありません。
自分の家がどちらに近いかは、孤立リスク診断で確かめられます。